先日実家に寄ることがありまして。
母がテレビを見てまして。
それが、僕の好きな若手の女優さんが出ているドラマでして。
「え、何で見てるの?」
「撮り溜めしてたのよ。今まとめて見てるの。」
お母さん世代が見るドラマって、
相棒とか科捜研の女とか2時間ドラマじゃないの?
(ちなみに相棒は僕も見る。)
そんなキラキラドラマ見るの?
撮り溜めしてまで見るの?
っていう驚きと共に、ちょっと心の奥で「嫌だなあ」という気持ちが。
こんな気持ちも以前にあったような。
で思い出したこと。
今から30年ぐらい前。
思春期の僕。
当時の若手ナンバーワン俳優吉田栄作さん主演
ジェットコースタードラマでお馴染み
「もう誰も愛さない」
を誰もいない台所で見ていた。
(台所にテレビがあった。)
何でリビングではなく台所で見ていたかというと、親に見られたくなかったから。
なんかドラマについて口出しされたくなかったから。
「この俳優知ってる」とか「これ面白いの?」とか、なんか言われたくなかったのだ。
きっと、若者文化に口出すな!入って来るな!的な意識があったのだと思う。
思春期ですし。
なのに、なのに。
父がふらっと台所に来てしまった。トイレのついでか何かで。
無視する僕。
黙っている父。
重い空気。
「このタクシーの会社、知ってるよ。」
重い空気を打ち破るべく父の口から放たれた一言。
「吉田栄作の乗っているタクシーの会社なんてどうでもいいんじゃー!」
「とっとと寝てくれー!」
と心で絶叫。無視する僕。
そんな思い出。
あの時と同じような気持ちが今回も心の奥で湧き起こったのでした。
なんか自分の好きな場所に入ってきて欲しくない的な。
自分、いい大人なのに。
っていうか、十分大人なのに。
っていうか、お前が若者文化に入ってくるな!って言われる年齢なのに。
ふと考えると、母と同じ年齢の他人が僕の好きな若手の女優さんが出ているドラマを見ていてもそんな感情は湧かなそう。
「へー、若いですねー。」って思うぐらい。
何でしょうね。
この歳になっても親の前では子供に戻ってしまうのかも。
あの日、僕にタクシー会社を紹介してくれた父はもういない。
そして今の僕は思春期の子供を持つ父親。
もう少し大人にならないとね。
ノスタルジー金曜日。
あっ、明日はお休みだー、わーい。
まだまだ子供。
おしまい。