output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

海、たき火、アイス、そしてセカンドウインド。

今週のお題「海」

A君の家に遊びに行くと、A君のお父さんと一緒にトレーニングをすることになるらしい。


小4の冬、そんな噂を耳にした。
色々「?」が点灯する話である。A君と遊ぶときは、
A君の家でファミコン、その後、サッカーなど体を動かして遊ぶ。
というのが定番。
お父さん?トレーニング?
どういうことだろう???

そんな疑問を持ったまま、ある日、僕はA君と遊ぶことになった。A君の家に近づくとA君の家の前で何かが動いているのが見えた。数人の友達が何かをしている!?

腕立て伏せ!!

何かが起こっている??????少年に何が起こったか????

A君の家に着くと、そこにはA君のお父さんの姿があった。そして、腕立て伏せや腹筋をする友達。。。

このあとの記憶は曖昧。
確かA君のお父さんから説明があったと思う。
「若いうちから体を鍛えておくことは、将来とても役に立つ。大事なことである。」と。
なので、
「腕立て伏せ○回、腹筋○回やりなさい。」と。

僕は戸惑いながらも、言われた通りにこなしたと思う。大人の言う事は聞くもの、という意識があったからなのか?友達もみんなやっていたからなのか?やりたい、やりたくない、で言えば、「やりたくない。」だったと思うけど、とにかく僕は言われた回数をこなした。当時の僕は今とは違って、それなりにスポーツができた方であったが、それでも辛くなるくらいの回数をこなした。

「終わったー!さあ、これからA君の家でナッツ&ミルクやるんだ!ロードランナーやるんだ!」

ノルマをこなした僕は、そんな事を思っていたのだが、それは夢と消えた。

「これから海まで走る!」

A君のお父さんは言った。

これから?

海まで?

走る???

A君の家から海までは、決して近い距離ではない。バスに乗って行く距離。自分の約10年くらいの人生の中で、その距離を走った記憶はない。ない。ない。。。
(ちなみにグーグルマップで調べてみたら3kmくらい。)

そして、更に驚くことが!

海までは、野球部のランニングのように

「みんなで列になって声をかけあいながら走る。」

ではなくて、

「おのおののペースで、バラバラに海に向かって走る。」

とのことだった。

海、現地集合!

(冷静に考えれば、みんな体力の差があるので理にかなっていると言えばかなっている。)

さらば、ナッツ&ミルク。
さらば、ロードランナー。

と言うわけで、僕らは走り出した、おのおののペースで、海に向かって。

今考えると、大した距離ではないのかもしれないけど(調べたら3kmだし)、当時の僕としては、果てしなく長い長い道のりに思えた。その海は、普通はバスで行くところだから。

でも、走った。
誰が見ている訳でない、誰に注意される訳でない、ズルをしてダラダラ歩いても怒られない状況なのに、僕は走った。横っ腹の痛さに耐えながら走った。なんで走り続けられたのだろう。若さ?従順さ?ただただ走り続ける、走る正直者。

つらい。つらすぎる。でも走る。でもつらい。でも走る。

そんなことを繰り返しているうちに、僕はふと気づいた。

あれっ?あれあれあれっ?全然苦しくないぞ!全然つらくないぞ!っていうか、全然走れるぞ!どこまでも行けそうだぞ!一生走れそう!宗兄弟を超えそう!瀬古選手を超えそう!


そう、これが『セカンドウインド』!!!


人生で初めての経験!自分に衝撃!

※セカンドウインドとは

dictionary.goo.ne.jp

goo辞書より引用

当時はもちろんそんな言葉知らなかったし、そん現象が起こるのも知らなかった。ただただ覚醒した自分に驚き、喜び、笑顔で海に向かって走り続けた。

その後、、、、、

途中、バテて歩いている友達を発見。
その友達が
「一緒に行ってくれ。」
と言うので、いつまでも走り続けることができるマシーンとなった僕は「まだまだ走りたいのにー。」という気持ちをぐっと抑え、物足りなさを感じつつも、友達と一緒に海に向かって歩いたのだった。

海にみんなが着くと、A君のお父さんがたき火をしてくれた。そしてその後、アイスをおごってくれてみんなで食べた、はず。なんでたき火の後にアイスなんだろう?季節は冬でなくて秋だったのかな?

汗が冷えて風邪を引かないようにたき火

その後、落ち着いたところでアイス

だったのかな?とにかく美味しかったオレンジ味のアイス。


結局、僕がこのトレーニングに参加したのは、この1回きりだった。その後もA君と遊んだから、なし崩し的に無くなったのか?僕の知らないところで開催されていたのか?覚えていない。

ちなみに、A君のお父さんは、

くたびれたジャージを着て、竹刀を持って、粗暴な人なのでは?

って思う人もいるかもしれないけど、全然そんな事はない。むしろ逆。A君の家はお金持ちで、家も大きくて、当然、主であるお父さんもキチッとされている人。紳士な人。
今思えば、自分の子供の友達とは言え、知らない子共達を束ねてトレーニングするってなかなかできない。休みの日に時間を割いてまでそんな事をしてくれたのは、そのときには気づかなかったけど、人生における健康の重要性、健康第一!健康であれ!というメッセージだったのかも知れない。


30年以上前の話なので記憶が曖昧になっているところはあるけれど、
海、たき火、アイス、そして10歳にして覚醒した自分、
は今でも思い出すと少し興奮する。いい思い出。


おしまい。