output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

高速移動式ワンマンライブカーとビキニ

あの日、20代の僕は大きな街に向かって車を走らせていた。一人暮らしの自宅から車で1時間半ぐらいの距離。ちょっと遠い。でもルンルンでワクワクでドキドキな感じで楽しくドライビングしていた。
なぜなら、その向かっている大きな街には合コンで知り合った女の子が待っているから。その女の子と二人でディナーをするから。
僕が人生で参加できた合コンって数えるほど。その中で更に次のステップに進めることはほとんどない。なので、このディナーはとても大事なのだ。

で、なんで車で行ったかというと、その女の子となるべく長い時間を過ごすため。女の子の家は

僕の家→→大きな街→→女の子の家

って感じで、僕の家から見て大きな街をはさんで反対側にあった。で、車があれば電車の時間など気にせず、彼女の家まで彼女を車で送り届ける間も一緒におしゃべりをして楽しい時間を過ごせると思ったからだ。

いざディナー。
と言いつつ、とても昔の事なのであまり記憶がない。
唯一覚えている会話。

女の子「私、今度お母さんとおねーちゃんとハワイに行くの!」

僕「えっ、すごい。いいな、海にも行くの?」

女の子「もちろん、行くよ。」

僕「じゃあ、ビキニになるの?」

女の子「なるよ。可愛いやつ買ったんだ。」

僕「見たい。すごい見たい。ビキニ見たい!ビキニ見たい!写真たくさん撮ってきて。」

女の子「いいよー!」


色々話したと思うのだけど、このハワイの下り、と言うかビキニの話しか覚えていない。ああビキニ。ビキニラブ。健全なる男子。しょうがない。
初めてのディナーでこんなしょうもない会話に、嫌な顔をせず(内心はわからないけど)付き合ってくれた彼女は優しかったなあ。

で、夜も遅くなり帰る時間に。
助手席に女の子。スマートに運転ができるフリをする僕(運転は苦手、でも高速の合流は怖くないフリ)。そして、車内には5連チェンジャー(←懐かしい)に収められたCDから流れるミスチルの歌。

ふと、女の子が言った。

女の子「〇〇君(←僕)、歌って。」

僕「えっ?」

女の子「合コンで行ったカラオケでうまかったよね※。歌って!」

※実際のところ別に上手くない。普通だと思う。でも歌うのは好き。

僕「今?ここで?」

女の子「うん、今歌って!」

どう答えるのが正解だったのか、何がモテの正解だったのか、今もよくわからない。
結局、よくわからない覚悟を決めて非モテな僕は「歌う」という選択をした。

「(シーソーゲーム)せかいじゅうのどぅあれもぐぅあ(シーソーゲーム)ごうのふかいせいめいとぅあーい」
(Mr.Childrenのシーソーゲームです。)

「まだまだせかいわおわらない、いまからはじめてみればいいじゃない、れっげろんれっつげろんいえい!」
(嵐のA・RA・SHIです。)

夜の闇を切り裂くように高速道路を疾走する車。微笑む女の子。叫ぶように好きなJ-POPを歌う僕。高速移動式ワンマンライブカー。なんでしょうかこれは??

何曲かJ-POPを熱唱しているうちに彼女の家に着いた。微笑んでいる女の子。謎の安堵感と達成感を味わう僕。不思議な世界。
僕は彼女にからかわれていたのだろうか?その真意は今もって分からない。

「ハワイから帰ってきたらまた会おう。」

そんな約束をして僕らは別れた。

その後どうなったかというと、、、

ディナーからしばらく経ったある日の夜中、彼女から電話がかかってきた。
なぜか泥酔している彼女。会話にならない会話。それが理由というわけでもないのだけど、その後、何度かメールのやり取りをしたあとは、なんとなーく疎遠になってしまって、そのまま彼女と会うことはなかった。

彼女、元気かな?僕のワンマンライブはどうでした?満足いただけました?僕、結構頑張って声を張りましたよ。あれは、からかってたんですかね?それはさておき例のビキニの写真はお持ちですか?そんなことを今でも考えてしまう僕は健全なる男子のままです。

おしまい。


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by ホンダアクセス