output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

あの日、スキー場での戦略

今週のお題「冬のスポーツ」

 

大学2年生の冬。僕は大学の友人たちとスキー場に行った、ある密かな決意を持って。

今の大学生はどうだか分からないのだけれど、当時の大学生は冬になったらスキー場に行くことが義務化されていた。明文化されていない法律があった。そんな時代。

 

僕は雪国出身でもないし、幼少からスキーを嗜(たしな)んでいたわけでもないのでスキーは下手なままだった。

本格的に始めたのは、大学1年生。でも、本格的と言っても、足繁くスキー場に通っていたわけではないので全然上手くならない。

※2日間滑る。→帰る。→コツを忘れる。→2日間滑る。→最終日にコツを思い出す。→帰る。→コツを忘れる。以下ループ、、って感じで、全然身につかないのだ。

 

一方、一緒に行く大学の友人たちは、

 

 ・大学のスキー講習(←体育の単位がもらえる)に参加していた

  ※僕は別の講習に参加していた。。。

 ・幼少からスキーをしていた

 

なんて感じで、うまく滑れる人が多かった。

そう、僕は、みんなから「出遅れて」いたのだ。

これは、冬にスキー場に行くことが義務化された時代において由々しき問題である。

やばいーーー!

今回の友人とのスキーツアーには、そんな状況の友人がもう一人いた。

友人A。彼もまた大学のスキー講習に参加しておらず、幼少期からスキーもしておらずスキーが下手だった。

僕らはこの問題を解決すべく、スキーツアー開始前に秘密の作戦会議を開催した。

 

「初日に、スキーが上手い友人に、

『上級者コース行こうぜ!ゆっくり降りて来れば大丈夫、大丈夫。ちゃんとサポートするからさ!』

って強引に山の上の方に連れて行かれて、結局ほったらかしにされて、へっぴり越しで降りてくる姿を晒していいのか!」

 

「コケて外れたスキー板を上級者に届けられて、『すいません。ありがとうございます。』って言いたいのか!」

 

「2日目に初心者コースをスムーズに滑れるようになって、それで満足していいのか!」

 

「楽しみがロッジの昼食だけでいいのか!」

 

熱く語り合う僕たちへたっぴーず。

そして、熱い議論を重ねるうちに、アイデアが舞い降りてきた。

状況を打破する!起死回生の作戦!を思いついた。

 

、、、、、

 

スキー場に着くと、僕と友人Aは他の友人たちに言った。

 

「僕たち、スキーあまり上手くないからさ、午前中は、スキースクールに入ってコツを思い出そうと思うんだ。で、みんなとは午後から合流したいんだ。」

 

友人たちにとっては突然の提案だったと思うが、

友人たちはそれを聞き入れてくれて、僕らを置いて山頂に向かって早々にリフトに乗り込んで行った。

 

僕と友人Aは嘘をついた。

午後から合流したい。は本当。

スキースクールに入る。は嘘。

 

友人たちを見送った後、僕と友人Aはロッジのスクール受付に行った。

スノーボードスクール受付に!

 

当時も、今と同じ様にスノーボードはあったのだけど、まだ全然主流ではなかった。

スキー場も

スノーボードの滑走範囲ってどこまでにする?

とか

そもそもスノーボードの滑走は禁止にする?

とか、色々悩んでいた時期。過渡期。

 

僕と友人Aは先の作戦会議でそこに目をつけた。

「これからスノーボードの時代が来る。」

「スノーボード、なんか不良っぽくてかっこいい。」

「今から始めれば、差をつけられる。」

「なんかモテそう。モテるに違いない。」

 

いざ、スノーボードスクール。

初めてのスノーボード。ドキドキ。

ブーツの履き方、ビンディングの使い方など道具の使い方の説明。

片方の足だけ固定しての泊まり方の練習。

リフトの乗り方、降り方の練習。

最後の最後に、両足を板に固定しての止まり方&滑り方の練習。

スキーとは違い、両足がガッチリ固定されてしまう恐怖。まあ、全然うまくは滑れない。でも、何とか初心者コースの下の方であれば、こけながらもそれっぽく滑れる様な感じに!

 

午後。

僕と友人Aは他の友人たちと合流した。

レンタルのスノーボードを片手に持って!

 

「どうしたの?スノーボード?」

驚く友人たち。

 

「ふっふっふっ。僕たち、スノーボードを始めることにしたのさ!」

(スキーとは違うのだよ。スキーとは!)

得意げな僕と友人A。

 

いざ。滑走へ。華々しいデビューへ!

グッバイスキー!ウェルカムスノボ!

モテの世界へGO!GO!GO!

 

僕と友人A、他の友人たちはリフトに向かった。

まずここで問題発生!

僕と友人A、全然進まない。スノーボードに慣れていないのでうまくスケーティングできないのだ。

のろい。とにかくのろい僕たち。呪われた僕たち。

何とかリフト乗り場にたどり着いて初心者コーススタート地点へ向かう。

そして、リフト降り場。

ここでも問題発生。

まあ、コケますわな。慣れてないもの。人間だもの。

 

でもここからが、勝負!

イケてるスノーボーダー!

時代の先端スノーボーダー!

ちょいワルスノーボーダー!

なんかモテそうスノーボーダー!

デビュー戦である!

 

で、ここでも問題発生。

ビンディングつけるの大変。慣れてないから。

スキーチームは当然のことながらすぐに滑れる状態。

僕たちは、端っこの方で腰掛けてビンディングのベルトの固定に悪戦苦闘。

待てなくなったスキーヤーの友人たちが次々と麓に向かって滑り降り始める。

 

「下で待ってるね。また、後でねー!」

 

「。。。。。。」

(くっ、負けるもんか!(何に?))

 

何とか板にブーツを固定。

いざ、デビュー滑走!

 

ズテッ!ゴテッ!グルン!ズズズズッ!

 

途中何度もコケながら、何とか麓(ふもと)へ。

最後の方は、何となく滑れている感じも出てた!どうだ!見たかー!

 

「なんか、大変そうだね。」

「怪我しない様に気をつけてね。」

スキーヤーの友人たち。正直な感想。

羨望の眼差し的なものは微塵(みじん)もない。

 

その後。

スキーヤーと初心者スノーボーダーでは、

リフトに乗って→下まで滑り降りる

までの時間の差が大きい。

(スキーヤーの方が圧倒的に早い。)

なもんで、結局、

スキーヤーチームとスノーボードチーム(僕と友人A)は、

お互いを見ることなく別々に自分達のペースで滑りましたとさ。 

 

で、これは失敗談みたいだけど、僕の中では失敗談ではない!

確かに、うまくは滑れなかった。

ただ、

新しい遊びへの挑戦。

何となくかっこいい感じのスノーボードでの滑走。

全然うまく滑れなかったけど、麓の方ではそれっぽい滑りもできたぞ。

スキーヤーではなくてスノーボーダー。

テンションアップ。

とても気分の良いスキー場での時間。

これはどう考えても成功体験!

 

ビジネスでもそうだけど、

成熟した市場で競合ひしめくライバルと戦うのではなく、

未開拓の市場、これから成長する市場に早期に参入する!

っていうのは戦略としてとても良かったと思う。

あの日の彼らは「スキーが上手い」のであって「スノーボードが上手い」ではないのだ。そもそもスノーボードに乗ってもいないのだ。

どんなにへたっぴでも、

あの日、僕と友人Aはスノーボーダーとして最先端を行っていたのだ!!!

のだ!!!のだ!!!

 

まあ、

最先端を走っていた僕と友人Aが他の友人たちに追い付かれたかどうかはまた別のお話。

ううっ。ぐすん。

 

おしまい。