output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

中3の冬、ガンダム、センチメンタル。

今週のお題「もしもの備え」

あれは中学3年生の冬の日。僕と友人は、ある高校を目指して歩いていた。それは2週間後に受験する高校。僕らは受験日当日に慌てないようにするため、その高校への行き方を確認するため、下見で歩いていたのだった。
だって、もしも受験日当日に雪が降ってバスが来なかったら。もしも受験日当日にバスが事故って止まってしまったら。そんな不測の事態にも対応できるよう、「もしもの備え」で僕らは自宅から徒歩で1時間はかかるであろう道をしっかり覚えるべくテクテクと歩いていた。


僕とその友人は中3で同じクラスになった。始めの頃はそんなに仲が良かったわけではなかったのだけれど、同じ高校を目指していることもあり徐々に仲良くなっていった。そして、冬のある日の登校日に僕らの仲はより深まった。


中3の2月にもなると、受験のこともあって学校が無い日がずっと続いていた。卒業式までほぼ休みな感じ。ただ、1日だけ「登校日」なるものが設定されていた。
僕は「登校日」をよく理解していなかった。友人も同様に理解していなかった。基本、休みが続く中にぽつんと1日だけある登校日。

僕と友人は登校日の前日電話で話しをしていた。

「明日の投稿日って、学校行かないといけないのかな?」

「学校って今、受験対策で基本的にお休みだから行ける人だけ行けばいいんじゃない?」

「そうだよね。学校行っている時間もったいないよね。勉強している方がいいよね。最後の追い込みだしね。」

かくして、僕らは登校日に学校に行くこともなく、勉強をしていたのだった。あ、ワイドショーとか見てた気もする。
そんな感じで家で過ごしていると我が家の電話がなった。
担任の先生からだった。

「どうした?体の調子悪いのか?」
「いえ、悪くないです。」
「今日、登校日なの忘れてた?」
「いえ、知ってます。」←バカ
「なんで来ないの?(怒)」
「行かなきゃいけないんですか?」←バカバカ
「当ったり前だろ(怒怒怒怒)、今からでいいからとっとと学校に来い!!」

「体調が悪くて寝てましたー。」とか言えばいいものをバカ正直に答えてしまったため、あえなく呼び出しとなってしまったのだった。。。だってしょうがないじゃない。登校日なんて行っても行かなくてもいいものと純粋に思っていたのだから。
もちろん担任の電話は友人宅にも。友人も同様の受け答えをしてしまったため撃沈。
僕らは連絡を取り合って、口数少なく一緒にトボトボと学校に向かった。ただただ怒られるために。勉強の追い込みをするはずが、学年主任にしっかり追い込まれるという悲劇。この悲劇の共有により僕らの中は深まった。


高校への道順を覚えるべく長い道のりを僕らは歩き続けた。歩きながら色々話をした。と思う。

将来の話になった。
僕は「学校の先生になるつもりだ。」と言った。
友人は「ガンダムを作ろうと思ってる。」と言った。
どちらも本気だった。
僕らが志望している高校は地元ではそれなりの進学校で僕らはそれなりに勉強はできる方だった。僕は高校に入り大学に入り学校の先生になると思っていたし、同様に友人も、いずれ大学や企業でロボット開発の仕事をするんだろうな、と思っていた。友人は数学が得意な理系な男だったし。鎧伝サムライトルーパー好きだったし。
そんな中3が夢見る未来を語り合っているうちに高校に着いた。道は覚えた。準備万端!


4月になり僕らは志望していた高校に通い始めた。残念なことに高校ではその友達と同じクラスになることはなかった。
時は過ぎ、3年生の春になった。受験勉強が本格化する時期。ちょっと日差しが強めで、春なのに少し汗ばむくらいの暑さの日、僕は渡り廊下で友人とすれ違った。

「どう?ガンダム作れそう?」

僕は軽い気持ちで聞いた。
友達は少し苦笑いして言った。

「俺、文転したんだ。」

ぶ ん て ん ???????

※文転とは→理系の学部を目指していた人が文系の学部を目指すようになること。

「ガ、ガ、ガンダムは??」

「数学がヤバくてさ。」

どうしちまったんだ、サムライトルーパー!!!
リアルガンダムを乗り回す夢はいずこへ???

それが友人と交わした最後の会話だった。

その後、友人がどこの大学に行ったのか、今、なんの仕事をしているのか分からない。
そして、なんだかんだで僕も学校の先生にはなっていない。

中3の冬に2人で見た、あの未来に僕らは立っていないのだ。

それぞれの選択。

別に悪い事ではないのだけれども。

なんか、ちょっとセンチメンタル。

気分転換。

部屋の窓を開けてみる。

いや、無理。
ゲリラ豪雨。
最近の気候おかしい。ぶーぶー。

おしまい。