住みたかった街。
で、思い出すのはディズニーランド。
あれは小学生の春。
ディズニーランドなるものが、千葉にオープンした。
オープン後はテレビのニュースでも取り上げていたし、新聞も全面広告が出ていたような。そういうものを目にしたり、早々にディズニーランドに行った友人の話なども聞いていたけど、なんと言っても「テーマパーク」なるものの概念が「全く」なかったので、それまで得た情報を元に、
ディズニーランドは
かわいいネズミのキャラクターが歩いている遊園地
と思っていた。
当時、小学校では、
「東京ディズニーランドなのに千葉かよ。ププププ。」
みたいなイジられかたもしていて、未経験の少年少女は全然ディズニーランドの凄さをわかっていなかった。
そして、その年の夏休み。
両親が僕をディズニーランドに連れて行ってくれた。
どうやって行ったかというとバスツアーで。早朝に我が家から一番近い大きな駅から出発するバスに乗って僕ら親子はディズニーランドに向かった。
ディズニーランドに向かう途中、バスガイドさんがディズニーランドの説明を始めたのだけど、突然意味不明なことを言い始めた。
「ディズニーランドにはゴミ箱が無いです。でも大丈夫。ゴミが出たら道に捨ててください。すぐに片付けてもらえますから。※」
「えええっ??????どういうこと????」
僕ら親子は衝撃を受けた。
よく分からないけど、ディズニーランドはちょっとすごいところなんじゃないか?
テーマパーク未体験親子はディズニーランドにただならぬ気配を感じたのであった。
※上記の「ゴミ捨てて良い発言」は、僕の記憶の中では確かに言っていたと思うのだけど(このことについて親子でも話したし、学校でも友達と熱く話した記憶があるし。)、常識的に考えると実際は勘違いかもしれない。ガイドさんが冗談で言ったのか、言ったことを聞き間違ったのか、どこかで記憶が塗り替えられたのか、何はともあれポイ捨て禁止。ダメ、絶対!ゴミはゴミ箱へ。なければ持ち帰り。
戸惑っているうちに、ディズニーランドに到着。そして入場。
どーーーーーーーーん!
そこに、街がありました。
テレビで見たような海外の街のアーケード!決して商店街ではない!
そして、華やかなフェスティバル感!決して町内のお祭りではない!
ここはどこ?何が起こったの?夢を見ているの?魔法をかけられてしまったの?
まさに夢と魔法の王国!
それまでの人生で、歩くだけで楽しくなる遊園地なんてなかった。衝撃である!
更に僕ら親子を衝撃が襲った。
目の前に、
ピシッとカッコいい制服を着た、
スラリとしたお兄さんか颯爽と現れ、
手に持っているホウキとチリトリで
ササッと美しい所作でゴミを片付けたのだ。
うおおおおー!
カッコいーー!
確かにゴミを捨てても平気そうーー!※
※ダメです。
僕はそれまでの人生で、見た目も所作もカッコいい「掃除のお兄さん」を見たことがなかった。初めて見た。
入園して早々に、僕ら親子はディズニーランドに完全に心を奪われた。
ディズニーランドすげーーー!
その後、僕ら親子は夢心地のまま
パーク内を歩くこと、
アトラクションに並ぶこと、体験すること、
お土産を見ること、買うこと、
、、、、
全てに感動しながらディズニーランドを満喫したのだった。
そして僕は帰り際に言った。
「僕、ここに住みたい!!」
当時、小学生だったとは言え、ディズニーランドに実際には住めないことは分かっている年齢。でも、だが、しかし!それでも言わずにはいられなかったのだ。それぐらいディズニーランドは魅力的な場所、「住みたい街」だった。
ちなみに、大人になってもその気持ちは全然変わらない。ディズニーランドから帰るときはいつも思う。強く思う。明日会社かー。ううー。ここに住みたいよー。魔法よ解けないでー。夢から覚めないでー。
おしまい。
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