output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

アイスティーと大人の階段

今週のお題「〇〇の成長」

中学生のときの話。
中学生になったある日、僕は友達と2人で大きな街に出掛けた。映画を見るために。確か天空の城ラピュタ。

映画の後、どこかでひと休みしよう、ということになった。
小学生時代は出掛けた先で立ち寄るお店と言えばファーストフード。
マクドナルドに行くか、ロッテリアに行くかのどちらかだった。
でも、僕らは中学生になった。なんか背伸びしたい年頃。どちらが言い出したか覚えていないけど、

いつもとは違う店に行こう!

となり、僕らは飲食店街をウロウロした。そして、ちょっと大きめな、チェーン店ではない喫茶店に入った。少しドキドキしながら。

店に入ると空いている席に促され僕らは座った。しばらくして、店員さんが水とメニューを持ってきてくれた。
いつもの「カウンターで注文」とは違う流れ。大人抜きでそんな場所にいる特別感。ちょっと緊張。

僕らは飲み物を頼むことにした。大人の階段を登るべく「コーヒー」っていう選択肢もあったが、コーヒー牛乳くらいしか飲んだことのない僕らは、そこまで背伸びするのをやめた。だからといって、コーラとかジュースもいつも通りだし、、、と言うわけで、真ん中をとって!?僕らはアイスティーを選択した。
年上の店員さんを呼び注文。ドキドキ。

しばらくすると、グラスに入ったアイスティーが運ばれてきた。テーブルに置かれるコースター。その上にグラス。いつもの「紙コップとプラスチックのフタとストロー」の構成とは違う形態。

僕らは、少し緊張しながらも、でも、別に慣れてますから、よくこういうところ来ますから、の感じを装って、ストローをグラスに挿しアイスティーを飲んだ。

ん???

僕らは同時に目を合わせた。

なんか、苦い。。。

アイスティー。勝手に甘いイメージがあったのだ。市販のパックの紅茶が甘かったからなのか、家で飲む粉を溶かす紅茶が甘かったからなのか。
とにかく、苦く感じた。

僕らは少し粘って苦い紅茶を飲んでいたけれど、辛くなってきてしまった。

ストレートティーを頼んだのが敗因なのか!?
ミルクティーって言えば砂糖が入っていたのか!?

などと、こそこそと反省会をした。
で、背伸びはやめることにした。

僕らは若い。育ち盛り。
成長には糖分が必要。
「苦いのが平気」というのは強がっているみたいで逆に子供っぽい。

と言う謎理論で気持ちに決着をつけて、僕らはテーブルにおいてある角砂糖をグラスに放り込んだ。

ストローでクルクル〜。

角砂糖は全然溶けない。

クルクルクルクルクルクル〜。

立方体を保つ角砂糖たち。溶ける気配なし。

ええい、ムカつく。こうしてくれる!

僕らは、ストローの先で、角砂糖に攻撃を加えた。

ガシガシガシガシ。

粉々になっていく角砂糖たち。でも、溶けない。白い塊として、以前と残り続ける。

あえて、その状態で僕らは飲んでみた。

苦い。。。

ファーストフードの倍以上するであろう値段の飲み物を頼んだのに、この苦行。大人の階段は簡単には登らせてはもらえない。ううっ。

悲しみに打ちひしがれてテーブルに視線を落とすと、謎の小さい白い陶器のポットが目に入った。

そういえば、これなんだろう?

店員さんが、一緒に持ってきてたな。でも、気に留めてなかった。はじめての喫茶店という緊張もあり、よく分からないもの⇒認識しない、の状態だった。

僕らは小さなポットを覗いた。水が入っていた。

この水、なんだろう?

僕らは考えた。でも、答えなんて出なかった。

水のお代わりにしては小さすぎない?
あれ、でもこれ水よりもねっとりしてる?

そして、僕らは原始人よろしく、なめて確かめることにした。小指につけてペロリ。

甘い!!!

原始人、ガムシロップとの遭遇!

僕らはガムシロップ知らなかったのだ。
お馬鹿な中学生、散々な喫茶店デビュー戦。

僕らは恐る恐るガムシロップをグラスに注ぎストローでかき混ぜた。クルクルクルクル〜。
透明、だけどうっすら揺らいで見えるガムシロップがアイスティーに溶けていく。グラスの底では角砂糖の破片が溶けることなく回り続ける。

僕らは再びストローを口に運びアイスティーを飲んだ。

美味しい!!!

大人の紅茶!!!

僕らはあのとき、段差としては大した高さはなかったかもしれないけど、確実に一段、大人の階段を登ったと思う。

そのことがあったからか、全く関係ないきっかけからかは忘れてしまったのだけど、その後、僕らは

定年退職をしたら一緒に喫茶店をやろう!

っていう約束をしたのだった。

今でもガムシロを見るとふと思い出す。角砂糖へのストローガシガシ攻撃。いい思い出。

おしまい。