output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

新橋のおじさんに救われる

先日の出来事。
仕事で新橋駅を利用することがあった。時間は帰宅ラッシュ時間。新橋駅で電車を降り、改札に向かう階段を登ろうとすると、上からすごい勢いで降りてくる人が。見た感じ30半ばぐらいの男。僕が降りた電車に乗りたかったらしく、上り専用の階段を逆走してきた。そして、
ドバーン!!
僕にぶつかった彼は駆け込み乗車成功。そして僕は突き飛ばされて壁に手をついてちょっと怪我をした。「痛っ。」僕は小さく声を出した。周りの人は何事もなかったように黙々と階段を登っていく。東京ピーポー。東京ライフ。気を取り直して階段を登ろうとすると、、、

「今のは、ひっどいなー。あれは、ほんとひっどいなー。痛いよなー。」

周りの人にしっかり聞こえるぐらいの大きな声。その声の主は50代半ばくらいのおじさん。僕を心配して話しかけてくれていた。
「ほんとひどいよなー。」
繰り返し声をかけてくれるおじさん。
ただ僕はおじさんの大きな声でちょっとビックリしてしまったのと、なんか周りの人の目が気になって少し恥ずかしいような気分になって、何故か苦笑いみたいな半笑いみたいな顔をして、おじさんに軽く頭を下げ、そして何事もなかったかのように他の人と同様に階段を登っていった。おじさんはこれから電車に乗る人だったのでそこでお別れ。
まず、言わなければならないこと。

「本当にありがとう、おじさん。」

僕はおじさんに救われたのだ。周りの人が、「ボケっと歩いているからぶつかるんだよ。」「あーあ、痛そう。可哀想。」というような冷ややかな言葉を心の中でつぶやきながら何事もなかったように階段を登っていく中、おじさんは声を掛けてくれた。そして、「あいつが悪者。君は被害者。君は悪くない。」と言う事を大きな声で周りの人に伝えてくれたのだ。おじさんは、僕を救おうとか思ってなくて、単に思ったことを口に出しただけなのかもしれない。単なるおせっかいなのかもしれない。でも僕は救われた。その後、怪我の痛みは少しあったけど、自分の不注意をしつこく後悔したり、もう会えないぶつかってきた男にやり場のない怒りをくすぶらせることもなく心穏やかに過ごせた。
「おせっかい。」は、この時代、排除傾向にある。極力、人との関わりを少なくする時代。お互い干渉せず、はお互いが心地良く生きる手段。「おせっかい。」は対応が面倒だ。でも、面倒でも必要な気がする。効率の悪いやり取り、気遣い。でも、人間らしい。機械じゃない。と言いつつ僕は基本人付き合いが苦手だから、普段はおせっかいを拒否したいタイプ。だけど、今回のようなおじさんに出会うとアリかなって思ってしまう。アリだろう、アリかしら。アリだろっ、アリ。