今週のお題「〇〇からの卒業」
自分の卒業式ではなくて上級生の卒業式の話。
あれは中学2年生。
思春期真っ盛り。
異性が気になるお年頃。
理想と現実のギャップに悶え苦しむ日々。
だって全然モテないんですもの。
卒業式が近づくと、通常の授業を潰して卒業式の練習が始まる。
卒業するのは3年生だけど、送り出す在校生として2年生も卒業式の「練習」に参加しなければならない。
その「練習」で2年生として何をしてたのかさっぱり覚えてない。(歌でも歌ったのかな?)
だけど、唯一覚えていることがある。
卒業式の前日。
ひと通り卒業式の練習が終わると、
生活指導の先生がみんなに向かって卒業式当日の注意点について説明を始めた。
「毎年、卒業式で3年生が体育館から退場するときに、卒業生に駆け寄って花束を渡す人がいます。絶対にやめなさい!単なる目立ちたいだけの行為です。花束を渡したいんだったら、式が終わった後に渡しなさい!」
リア充ではなかった僕は、先生の注意で初めてそんなイベントがあることを知った。
卒業式のイベントって
モテ男子が卒業式に第2ボタン取られる
ぐらいしか知らなかった僕にはちょっと衝撃だった。
卒業式当日。
式はつつがなく進行し、いざ3年生退場。
ほんとに「花束お渡し会イベント」なんてあるのかいな?と思いつつ、会場全体に目を配る僕。
退場が始まってしばらくすると、、、、
どこからともなく4〜5人くらいの女子が出現。
えっ?あなた達はどこから?
目あての卒業生に狙いを定めておのおのが駆け寄る!
そして手には花束!
どうやって持ち込んだ!?今までどこに隠してた!?麻薬犬もびっくり!
式の最中ということもあり、大きな声をあげずに、でもなんとか花束女子を止めに入る先生たち。
生活指導の先生が一人の生徒の前に立ちはだかる!
卒業生の退場の行進に合わせて両者移動しながらの攻防。
ディーフェンス!ディーフェンス!
その花束のパスを通しちゃ駄目!
思わず生活指導の先生を応援しちゃう自分。
普段なら立場的にも体格的にも有利な生活指導の先生だけど、今回は卒業式本番、来賓といういつもとは違う大人の目もあったりで、かなり控え目なディフェンス。圧倒的不利。
一方、絶対にこの花束わ渡す!という強い信念。そして、10代の機敏な動き!
花束は動きに精彩の欠く先生の腕をすり抜け卒業生男子の手に。
あまり表情を変えない卒業生男子。でも、口角が少し上がる。
先生を睨みながら、席に戻る女子。でも、広角が少し上がる。
何事もなかったかのように続く退場の行進。
退場口に吸い込まれていく花束男子。
ピッピッピー。先生と僕の敗北。試合終了。
僕が先生を応援したのは、
先生が大好きだったから
でもなければ、
卒業式という厳かな儀式の場でのマナー違反が許せなかっから
でもない。
単純に、
うらやましーぞー、ちっきしょー。
という嫉妬である。
花束男子も羨ましいけど、花束お渡し女子も羨ましかった。
リア充の皆さんの
「どんな時間も無駄にしない!人目なんて気にしない!日常にアレンジを加えてしっかり楽しむ!」
その姿勢、行動力にビビりつつも、すごく羨ましかった。
人生は楽しんだ人が勝者!
分かっているけど、いざ実行に移すとなるとやっぱり難しい。今でも。。。
そんなこと言ってちゃ駄目だ!
もし今度フラッシュモブに誘われることがあったら積極的に参加しよう!ノリノリで踊ろう!
いや、やっぱり、これはなんか違う気がする。
おしまい。