output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

僕たちがやりました(小4編)

今週のお題「爆発」

小学校4年生の冬。
僕の地元では「どんど焼き」なるイベントがあった。

どんど焼きとは、、、
砂浜に「わらの山」みたいなのを作って、そこにお正月のしめ縄とか正月の飾りを突っ込んでキャンプファイヤーのごとく焼くイベント

小4男子にとって、でっかいわらが燃え盛るのも非日常でワクワクなイベントだし、わらを焼いた後、その残りの火でお持ちを焼いて食べるのもまた非日常で楽しみなイベントだった。

僕と友達3人、計4人は早起きしてどんど焼きに参加し、わらがそれなりに焼けたあと、持ち寄った餅を網に並べて焼いて醤油やらあんこやらをつけて食べていた。

ダラダラと餅を食べ、砂浜で追いかっけこをし、またダラダラ食べて、、、なんてのを繰り返していたら、いつの間にか人が全然ぜんいなくなっていた。

早朝からそのイベントは始まっていたが、気がついたらお昼過ぎくらいだった。

「そろそろ帰る時間かな。」
みんながそんな雰囲気になった時、
友達の1人が、砂浜に落ちている100円ライターを見つけた。
大体そういうライターは中が空なのだけど、そのライターにはたっぷりオイルが残っていた。
ちょっと興奮する4人。

「火、着くじゃん!」

みんなで取り合うようにライターを回してカチカチ火を着ける。
けど、当然のことながらまあそれ以上のことは何も起こらない。

火遊びをエンジョイすべく僕らは周りを見回すと、一斗缶が目に入った。
その一斗缶はどんど焼きのイベント用に誰かが持ってきて忘れて(放置して?)帰ったもので、一斗缶の中には炭やらわらやらが入っていてまだ燃えていた。
誰かが言った。

「このライター、あれに入れたらどうなるかな?」

オイルいっぱいのライター
     ✕
まだ燃えている一斗缶

「やばいんじゃないの??」
「すっごい爆発するかも!」
「吹き飛ばされて死んじゃう!?」 
「火事になったらすっごい怒られそう。」
「消防車とか来ちゃうかな。」

小4の知識を総動員しての熱い議論。

結局ギャングエイジな僕たちは、好奇心に抗うことができず、満場一致で

「ライターを一斗缶に入れる」

ことにした。

作戦はこんな感じ。

4人で一斗缶のところに行き代表者がライターを入れる


急いで一斗缶から離れる


伏せて一斗缶を観察する

いざ決行!

4人で一斗缶を取り囲む。
ゴクリ。
代表者が一斗缶の上方にライターを持った手を伸ばす。

「3、2、1、ゴー!」
手から離れたライターが一斗缶の中へ落ちていく!

同時に僕らは思いっきり走った。
できるだけ離れ、飛び込むように砂浜に伏せた。

かたずをのんで一斗缶を見守る4人。

大爆発したらどうしよう。
まさか死んだりしないよね。
砂浜に大きなクレーターできたらどうしよう。
やってはいけないことやっちゃったのかな。

後悔。不安。期待。  
高鳴る鼓動。
どきどきどきどきどきどきどきどきどきどき。



ぼふ。。。。


ほんの少しだけ、一斗缶が揺れた。。。

え?

僕らは顔を見合わせた。
今の違うよね。
今の爆発じゃないよね。
いや絶対違う。
これから大爆発が起こるはず。
ライターにはオイルいっぱい入っていたし!

再度一斗缶を見つめる4人。


。。。。。


心地よい日差し。ぽかぽか。
波の音。ざざーん。
穏やかな砂浜。

。。。。。


こんなんじゃないよねえ。
もっとなにか起こるはずだよね。
僕らは一斗缶に向かった。

一斗缶をのぞくとそこには少し砕けたライターがあった。

僕らは不思議と

「はじめからこんなもんだと思ったよ。」
「全然怖くなかったよ。」
「ライター、大したことないね。」

みたいな負け惜しみ的なことは言わなかった。

「あんなもんなんだね。」
「もっとすごい爆発になるかと思ってドキドキてた。」
「俺もドキドキしてた。」

仮説を立て、実験して、検証結果を真摯に受け止める。
ギャングエイジな僕らはその時、少しだけ大人になった。

当時と住んでいる場所は変わったけど、町内の掲示板に「どんど焼きのお知らせ」を見つけるとあのときのことを思い出す。

どきどきどき
ぼふ
ざざーん

おしまい。

※実際にライターを火に入れると大変危険なので良い子も悪い子も絶対に真似しないでください。