output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

米の思い出の詩

大学生だった

初めての一人暮らし

満喫していた

2ヶ月に一度ほど汚いワンルームに両親はやってきた

その度、僕は迷惑そうな顔をした

不機嫌な話し方をした

友達と遊びたいんだよ

よく両親を置いて友達と遊びに行った

その日帰宅すると両親は洗濯物を畳んでいた

短時間の間にエアコンを使い、布団カバーから何から洗濯し全て乾かしていた

もう夕飯の時間だった

いつもは外食するのに何故かその日はワンルームで食べることになった

サラダ、ブリの照り焼き、味噌汁、そしてご飯

好きなおかずだ

ご飯は僕の家にあった銘柄がよく分からない米

炊飯器は3合しか炊けない圧力もかからない炊飯器

いつも僕がご飯を炊くと炊飯器のせいか謎の米のせいか分からないけど、とにかく美味しくなかった

その日の夕食は違った

ブリはいつも通り美味しかった

僕だけ2匹だった

ご飯も美味しかった

同じ水、同じ米、同じ炊飯器なのに

美味しかった

僕がおかわりをしないことを知っている母が、いつも通りお茶碗にギュウギュウに詰めたご飯

美味しかった

美味しいくて、そして、後ろめたかった

両親は帰り、僕はサラサラになった布団にくるまった

サラサラだった

サラサラで、そして、後ろめたかった

あれから20年以上経ったけど

僕はいまだに親孝行息子ではない

せめて実家に帰ったときは、おかわりぐらいはしよう



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