output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

警察署から靴屋までの遠出

今週のお題「遠出」

30年ほど前の冬、大学生の僕、そして友人2人は警察署にいた。近所に靴屋がないか教えてもらうために。

なぜ靴屋の場所を知りたいか、警察署に着く前、僕らはトイザ◯スにいた。次の日から始まるバイト(警備員)の説明を聞くために。そこで「黒い革靴、用意して。」と言われたのだ。

当時はスマホもなければガラケーもまだ普及していない時代、行きたい店の場所を知るにはタウンページを見るか、唐突に設置してあるその地域の地図看板を見るか、歩いている人に聞くか。次の日からバイトで、時間も夕方、時間もない僕らは確実に情報を得られる警察署に駆け込んだのであった。

警察署には僕ら以外に2人組の50〜60代くらいのおじさんがいた。(以下、そのうちの1人が榛葉幹事長に似ていたので榛葉さんとする。)榛葉さんは警察署の人に「社長」って呼ばれていて、僕らの隣で親しげに警察の人と話していた。

で、僕らは隣のおじさん2人を特に気にすることもなく警察署の人に靴屋の場所を教えてもらい&簡単な地図ももらい警察署を出た。すると、後ろから榛葉さんが声をかけてきた。

「君たち、靴屋に行くんだって。さっき警察の人に聞いたよ。靴屋まで車で送ってあげるよ。」

「いや、大丈夫です。歩いていけますので。」

僕らは遠慮したのだが榛葉さんは

「遠慮しなくていいよ。先は長いんだから乗ってきなよ。乗って乗って!」

あまりに積極的に誘ってくれるので僕らはお言葉に甘えて車に乗せてもらった。

で、靴屋への車中。榛葉さんは嬉しそうに僕らに話しかけてきた。

「警察署で聞いたよ。3人で徒歩で日本を旅行してるんだって?今日はどこまで歩くの?いやー、そういうのは若いうちにしかできないからね。いやー、いいねえ。頑張れ!」

 

なんか!壮大な!勘違い!をされている!!!

 

どこで情報がねじ曲がっちゃたのか分からないのだけど僕らは、

徒歩で日本縦断を目指している大学生3人組

と思われているのだ。確かにその時の僕らの格好は、なんかスタンド・バイ・ミーの子供たちが大人になったみたいな感じだったし、当時流行っていたドラム缶みたいなバック(バスケットボール6個ぐらい入りそうなやつ)を肩からかけて歩いていたので旅の途中に見えなくもない。

僕らは誤解を解こうかとも思ったのだけど

「若い時の無謀な挑戦は大人になった時に必ず役に立つ!」

とか

「そういう挑戦は今しかできないから積極的にやるべき!」

とか

僕らに熱く話しかけてくれるので、とてもじゃないけど

「靴屋に寄った後は最寄り駅から電車に乗って家でシャワー浴びてテレビ見て早く寝ようと思ってるんです。」なんて言える雰囲気ではなく、、、、

「ええ、まあ、、、」

とか

「ははは、、、」

とか曖昧な返答をして、その場をごまかした。そうこうしているうちに靴屋に到着。榛葉さんは、

「寒いから風邪引くなよ。応援してるよ!頑張れよ!」

といって颯爽と去っていった。

僕ら3人は「感謝」と「後ろめたさ」がミックスした変な感情で去りゆく榛葉さんの車に頭を下げてるのであった。

あれから30年。たまーにこの出来事があった場所を車で通ることがあるのだけど、トイザ◯スは無くなり、靴屋も無くなった。ただ警察署は30年経っても昔のままの佇まいであって、そこを通るとモニャモニャしたちょっとノスタルジーな気分、そしてフフッっとなる。榛葉さんには「だました感じ」になって申し訳ないけど今となっては若き日の良い思い出である。感謝。

で、ふと思う。気がつけばあの時の榛葉さんと同じくらいの年齢。部下もそれなりにいたであろう社長の榛葉さんは20代前後の若者が無謀なチャレンジをしている姿(実際はしてないけど)に未来を感じてくれていたのではなかろうか。次の時代は君たちに頼んだぞ!って思ってくれていたのではなかろうか。だから、少々強引に、そしてあんなに熱く応援してくれたのではないだろうか。榛葉さんの期待する大人になれたのかは分からないけど、(なっていない気もするけど、、、)、せめて「無謀だけど何かにチャレンジしている若者」がいたらバカにしたり変な大人ぶった説教することなく、ただただ背中を思いっきり押せる大人になりたいものだ、あの時の榛葉さんみたいに。夏休みを使ってマイクラで超巨大高級ホテルの建築を進めている我が子の背中もドーンと押そうではないか、「そんなことより勉強しなよ。」などと言わずに。いやあ、難しい。。。

 

おしまい。